WORKS / Si...













Si...

- Silicon wafer - plate of Semiconductor, TMS370 Microprocessor (produced in 1997 by Texas Instruments), Two microscope images of microchips on silicon wafer (Photo by Steve Emery, ChipScapes TM), "Apache tears" (Obsidienne) with a feather of bird founded at Kasha Katuwe (tent rocks), New Mexico, USA
- Opal, Glass, Mirror, Woodbox, Motion sensor lamp
- Projector, Speaker, Fan



Photo : Kasha Katuwe (tent rocks), 2014



この作品は、シリコンウエハー、オブシディアン(黒曜石)、ガラス片、砂などによって構成されるインスタレーションである。 一見異質な取り合わせの素材だが、実は化学記号でSiと表されるケイ素(シリコン)とその酸化物である二酸化ケイ素(SiO2)という共通のマテリアルで構成されている。

デジタルカメラやコンピュータのメモリ、音声や画像処理を行う電子機器や通信機器などに欠かせないIC(半導体集積回路)は、99.9999%にまで高純度化されたケイ素(Si)によって出来たシリコンウエハーにプリントされている。

その際の最も重要となるのが Photolithography/Optical lithography/UV lithographyなどと呼ばれる焼き付けのプロセスであり、イメージ複製の変遷を考えるにあたり、進化したリトグラフィ技術と位置づける事ができる。

2014年の夏、ニューメキシコを旅した際、古代ネイティブアメリカンが聖地としていたカシャカトゥエ(Kasha-Katuwe 別名:tent rocks)を訪れた。 壮大な景色がみわたせる山頂で小さな黒い半透明の石の粒をたくさんみつけた。これは、火山の噴火によって自然に生成された天然のガラスといえるオブシディアン(黒曜石)で、ケイ素の酸化物である二酸化ケイ素(SiO2)が主な成分である。

このオブシディアンは、ネイティブアメリカンが、アメリカ開拓者との間でここで多く命を失ったことから、"アパッチの涙"と呼ばれており、ケイ素がデジタル技術の中で記憶を伝達するマイクロチップのマテリアルであるのと同様に、二酸化ケイ素の小さな石にも、歴史が記録されていると考えた。わたしの中で、マイクロチップという記録媒体と、この黒い小さな石がメディアとしてつながったのである。オプシディアンは、自然が作り出した記憶をとどめる媒体といえるかもしれない。

会期を二期にわけた個展『Unknown Senses』では、はじめガラスの中に封じ込められた羽根(オブシディアンと同じエリアにて採取)が、二期目では、糸に吊られ、宙に解き放たれて、展示空間に流れる風に舞う。その横にシリコンウエハーを展示した。

メディアをメディウムに、そしてマテリアルに分解し、再構成しなおすことで、現代社会の中で、透明化してゆくメディアテクノロジーと、そのメディアによって偏在し、日々目にする悲惨なイメージの在り方を再考する、静かな問いかけとなっている。わたしたちはテクノロジーをつかって、日々悲惨なニュースの画像を共有しているが、実際なにを共有すべきなのだろうか。