WORKS /

Héritage #16071945

Heritage
Heritage
Adoka Niitsu, Héritage #16071945, 2017年
ミクストメディアインスタレーション:ゾルンホーフェンとアイヒシュテット(ドイツのバイエルン州)の石版石、化石、LED ネオン、鏡、プレキシガラス、ガラスケース

石のサイズ: 14.5 x 7.5 x 0.9 cm
ガラスケースサイズ: 20 x 40 x 25 cm

画像出典: Jack Aeby による原爆実験写真 / パブリック ドメイン

展覧会「I Say Yesterday, You Hear Tomorrow. Visions from Japan」、イタリア・トレヴィゾのGallerie delle Prigioniでの展示風景。キュレーション:Suzanna Petot

開催期間:2018年7月12日〜2018年11月25日
写真撮影:© Marco Pavan / Gallerie delle Prigioni
Heritage
個展「Héritage」Galerie Hors-Champs、パリ
開催期間:2017年6月1日~2017年6月20日
写真撮影: © Adoka Niitsu

text

イメージの力

1798年にドイツの俳優で劇作家のアロイス・ゼネフェルダーによって発明され、19世紀初頭に普及した石版印刷の技術は、膨大な量のイメージを複製することを可能にした。石版の材料である石灰岩は、化石を記録し、地球の歴史を伝える媒体でもある。

複製し、共有すること。
記録すること、保存すること。

さまざまな実験の後、人類史上最も重要なイメージを示し、常に思索を呼び起こすスマートフォン型の作品シリーズの制作を始めた。

1945年7月16日にマンハッタン計画の一環としてアメリカ軍がニューメキシコ州で行った世界初の原爆実験の写真の強烈なイメージを忘れることができなかった。偶然にも、私の誕生日は、世界初の原爆実験が行われた日付と同じ日である。

ニックネームで「ガジェット」と呼ばれた爆弾は、5時29分21秒に爆発し、そのエネルギーは約25キロトンのTNT火薬に相当した。この瞬間に、核の時代が始まったのだった。

この核開発プロジェクトは極秘裏に進められたために、環境物理学者のJack Aebyが撮影したこの爆発写真は、当時共有されることはなかった。広島と長崎に原爆が投下される2週間ほど前だった。

私は石灰石でスマートフォン型の石版を作成し、この爆発のイメージをロックされた待受画面のように表示した。瞬時にイメージが共有される現代において、長い時間軸を持つこの石が、私たちに社会的考察の機会を提供してくれることを願って。

新津亜土華